スパーブルームコラム
腸は第二の脳(腸活について)
記事の監修
柿本奈美パーソナルトレーナー
自身も最大体重90キロから40キロのダイエット経験を持ち、その過程でトレーニング理論や栄養学、マインドリセットを基礎から勉強。その後、パーソナルジムで専門的なトレーニング理論も学んできた。
身体づくりは継続することが大切であることを前提に、お客様が心地よく継続できるために、潜在的な悩みに寄り添えるような接遇面にも心を配り、お客様の1年以上の継続率は80%を超える。
【保有資格】
NSCA–CPT、日本ファンクショナル協会 CFT、CFBT認定ボディメイクトレーナー、アスリートフードマイスター
新年明けましておめでとうございます。パーソバルトレーニングジムSUPERBLOOMトレーナーの柿本です。
1年の始まりって本当に新鮮な気持ちなりますよね。
今年も気持ち新たにお客様にとってお役に立てる情報提供が出来るよう取り組んでいきたいと思っていますので、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
腸内環境が健康にとって大事な理由①
健康維持や仕事や運動のパーフォーマンスを高めるためには腸内環境はとても重要です。なぜなら食事から摂取した栄養素は小腸で吸収され、全身の細胞に届けられるからです。
食べたものは食道→胃→小腸の順番に体を辿ります。
そこから小腸で栄養が吸収され血管を通して肝臓に運ばれ、肝臓から心臓に運ばれ、全身の37兆個もある細胞に栄養が運ばれていきます。
しかし、腸内環境が悪いと腸内で毒素が増え、その毒素が血液にのって各臓器や細胞に送られてしまい、心身の不調の原因にもなり得ることにもなります。ここで言う毒素とはアンモニアや発がん性物質が代表例です。
例えば、アンモニアが脳に運ばれて蓄積すると脳症の原因因子になりますし、発がん性物質が全身に送られることでがん細胞が増殖する原因因子にもなってきます。
これだけでも腸内環境が大切な理由が分かりますよね。
腸内環境が健康にとって大事な理由②
ただ、実は他にも腸内環境が大切な理由があります。
腸内で作り出される物質が脳の機能に影響を及ぼすことです。
なぜなら腸と脳には密接な関係にあるからです。
腸には無数の神経細胞の集合体である神経節や血管が張り巡りさせられており、腸内細菌や腸内で作り出される物質が神経や血液を介して脳に影響を及ぼします。
これを【脳腸相関(のうちょうそうかん)】といいます。
例えば、腸内環境が悪いと、なんだかメンタルが不安定になる、ストレスを感じやすくなる、便秘になるなどもあり、これらは脳と腸の関係が原因と言われています。
幸せホルモンのセロトニンの9割は消化官に存在しているといわれているので、腸内環境が良い状態にないとストレスや不調を感じてしまうのは当たり前ですよね。
ここまでは腸内環境が大切なことをお話してきましたが、そもそも腸内環境が良い状状態はどういうことでしょうか?
それは、腸内に善玉菌の数が多い状態を指します。
腸内には100兆個の細菌が存在しており、大きく3つにわけることが出来ます。
- 善玉菌・・・消化吸収を助ける、有害物質の排出効果、悪玉菌の増殖を防ぐ
- 悪玉菌・・・免疫力低下、腸内のタンパク質を腐敗させ有害物質(アンモニア、がん細胞)を増殖させる
- 日和見菌・・・多数派に意見賛同する菌。例えば、腸内悪玉菌が多ければ悪玉菌に味方する。
健康な人の場合は善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割という割合になります。
腸内環境を良くするためには善玉菌を増やすことがポイントです。
ではどうすれば善玉菌を増やすことが出来るのでしょうか?
腸内環境を整えるには食事、運動を意識することが大切になります。
1)【食事面】について
まずは食事についてですが、具体的には、➀発酵食品、➁食物繊維、③オリゴ糖、④EPA・DHAを摂取することが大切です。
➀発酵食品
納豆、味噌、キムチ、鰹節、チーズ、ヨーグルトなどを積極的に取り入れる。乳製品に関しては体質に合わない方もおられるのでお腹がゴロゴロする、膨満感がある場合は控えることをお勧めします。
➁食物繊維
1日20グラムを目安に摂取してください。推奨量はあくまでも目安なのでガスが溜まりやすい方はこの限りではありません。ご自身の体調を見ながら摂取してみてください。
食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分けられます。
1)不溶性食物繊維
発酵し腸内環境の餌になり善玉菌が増える、水に溶けにくいので水を吸収し便の暈を増やす役割があります。
代表的な食品はさつまいも、ごぼう、ブロッコリー、きのこ、豆類、玄米などです。
2)水溶性食物繊維
発酵し腸内細菌の餌になり善玉菌が増える、短鎖脂肪酸を作り出す、短鎖脂肪酸の中にある抗炎症作用が腸内の炎症を鎮静化する、水に溶けやすくネバネバしているので胃腸をゆっくり通過することで空腹感の軽減や糖の吸収を穏やかにします。
※短鎖脂肪酸とは
腸内を適度な酸性に保ち善玉菌を応援し、悪玉菌を少なくする働きをするものです。代表的な食品は海藻類、オクラ、こんにゃく、アボカド、モロヘイヤなどです。
③オリゴ糖
オリゴ糖はビフィズス菌などの乳酸菌のエサとなり、善玉菌を増やしてくれる効果があります。またオリゴ糖は悪玉菌のエサにはならず、善玉菌のみのエサになるので効率よく善玉菌を増やすことが出来ます。代表的な食品はバナナ、玉ねぎ、はちみつなどです。
④EPA・DHA
EPAやDHAは腸内の炎症を鎮め善玉菌が増えやすい環境を作り出します。腸内の潤滑油として便の排出を助ける働きもある。体内で生産できないため、食事から摂取する必要がある。
代表的な食品は青魚、鮭、亜麻仁油などです。
腸内環境を整えるために必要な栄養素、食材はわかって頂けたと思います。
➀~④を意識して食事するのは難しい・・・、 ハードルが高い・・・と思われる方もおられると思います。
そんな方でも大丈夫です。私たちが慣れ親しんだ日本のスーパーフードがあります。お味噌汁です。
①発酵食品の味噌 ②食物繊維のきのこやわかめ ③オリゴ糖の玉ねぎ ④EPA・DHAの鰹節や煮干し出汁・出汁の代わりに魚の切り身や団子を入れてもいいと思います。
特別なものはいりません。今一度、日本の伝統食を見直していきましょう。
2)【運動面】について
次に、腸内環境を整える運動についてです。こちらもふたつあります。
まず一つ目はゆらぎです。
1日11時間以上座位姿勢をとる方は、そうでない方と比べて3年以内の死亡率が40%高くなるそうです。一つの理由として足の筋肉が使われないため血流が悪くなり、糖や中性脂肪が溜まってしまい狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病を引き起こしやすくなるようです。
11時間までなくとも仕事や日常生活で座っている時間が長い方は多いと思います。
長時間座っていることで腸が不快と自分自身では感じることはないですが、実際には腸にとっては大きなストレスになります。
晴れた日に散歩をしたとき、日の光や風の気持ちよさ・木々や花の香りを感じて気分が良くなる経験があると思います。そのような自然界の動きのあるものがゆらぎです。
どこかのタイミングで1日1回は蛍光灯やブラックライトなどの現代文明から離れてゆらぎを感じることで腸がリラックスします。
散歩する時間や場所がないという方はこまめな換気と深呼吸を取り入れてみてください。
二つ目はスクワットです。
スクワットの上下運動は腸にも良い影響を与えてくれます。スクワットをすると大腸の近くの筋肉を刺激して鍛えることが出来るので便を押し出す排便力が向上するといわれています。そしてスクワットの一定のリズム運動の振動が腸にも伝わり、腸管の働きを活性化してくれるようです。
また筋肉から分泌されるマイカイオンというホルモンが大腸がんの予防に良いことも最近わかってきました。
腸内環境を整える運動として、是非スクワットも取り入れてもらえるといいと思います。
最後に
ここまでで、健康は腸と密接な関係があることを分かって頂けたと思います。
流行りのダイエトのように何かだけを取り入れる、禁止にするような方法では腸内環境を整えることは難しいです。毎日継続して行えること、行うことが腸内環境改善の近道かと思います。
仕事の効率アップやスキルアップ、日常生活の生産性向上にも関係していますので、土台となる身体を良い状態に作り替えて保つことが大切ということですね。
日々の生活から出来ることを取り入れて、意識して腸に優しさを届けていきたいですね。
今回は、健康維持にとっても重要な腸内環境を整えるということについてお話をさせて頂きました。
皆様の健康作りにとっても、是非参考にして頂けたら嬉しいです。