スパーブルームコラム
健康な体づくりに向けた隠されたチカラ「空腹力」
記事の監修
柿本奈美パーソナルトレーナー
自身も最大体重90キロから40キロのダイエット経験を持ち、その過程でトレーニング理論や栄養学、マインドリセットを基礎から勉強。その後、パーソナルジムで専門的なトレーニング理論も学んできた。
身体づくりは継続することが大切であることを前提に、お客様が心地よく継続できるために、潜在的な悩みに寄り添えるような接遇面にも心を配り、お客様の1年以上の継続率は80%を超える。
【保有資格】
NSCA–CPT、日本ファンクショナル協会 CFT、CFBT認定ボディメイクトレーナー、アスリートフードマイスター
いつもお世話になってます。スパーブルームの柿本です。
さっそくですが、
- 「腹八分に病なし 腹十二分で医者足らず」
- 「人は食べる1/4で生きている 他の3/4は医者が食べている」
- 「ご馳走を食べすぎると飢えに苦しんでいる人と同じようにやはり病気になる」
このように、昔から世界中で食べすぎを戒める言葉が数多く残されています。それはなぜでしょうか。
実は、食べすぎが文明をも滅びさせてしまったからだと言われているからです。古く古代のギリシャ、ローマ、エジプトなどは疫病が流行し急速に滅亡しました。
では、なぜそれほどまでに疫病が流行したのか?
それは、都市部に人が集中し、衛生環境が悪くなったことが原因とされていますが、もう一つ考えられていることがあり、それは、都市部に人が集まったことで生活全般が豊かになり、食生活の乱れによる免疫低下も原因の一つと考えられているようです。
さて、現代では、ウイルス性の疫病よりもガン、生活習慣病、慢性的な病を抱えておられる方が多い状況です。古代文明の時代から医学、医療は日進月歩で変化をしているのにも関わらず現代も現代疫病のようなものがなくならないのでしょうか。
この流れからだとお気づきいただけたかと思います。
そうです、「食べすぎ」と「運動不足」です。
どれだけ医学や医療が発展しても生活習慣の乱れがある場合は打ち勝てないのでしょう。
前置きが長くなりましたが、今回は、食べ過ぎが免疫低下や生活習慣病の原因にもなると言われているいる中、「空腹力」に注目してお伝えをさせて頂きたいと思います。
(1)食べ過ぎが免疫低下や生活習慣病を招く??
なぜ食べすぎが免疫低下や生活習慣病の原因になるのでしょうか。
それは【血液の汚れ】がおこるからと考えられています。
漢方の世界では「万病一見(まんびょういちげん)血液の汚れにあり」という言葉があります。
血液は全身を巡りますので、汚れた血液が全身を巡ることは全身の細胞に毒を届けていることに等しいこととなります。血液の汚れと聞くと老廃物や有害な物質と考えられますが、それだけではなく、血液内の栄養の量=栄養過多・低栄養といわれるバランスの欠如も含みます。
いくつか例を挙げてみましょう。
お水を取りすぎると水毒症状といい、古い水が体内に溜まり頭痛や下痢を引き起こしますし、少ないと脱水症状になります。糖質も食べすぎると肥満、糖尿病のリスクが上がりますが、食べなさすぎると低血糖になり、生命維持に必要な活動レベルが鈍くなり、脂肪も取りすぎると脂質異常症になり、少なすぎると栄養低下によりホルモンバランスの乱れが起こります。さらに、皆さんが意識的に摂ろうとされているタンパク質も多すぎると高たんぱく血症になり、少なすぎると栄養失調や免疫低下が起こります。
こうしてみると食べすぎも食べなさすぎも良くないことが分かりますね。
もちろん血液を汚してしまう原因は、食事量の過不足だけではなく、運動不足やストレスにより体が冷えることも大きな要因です。
(2)食べ過ぎで「血液の汚れ」が起こってくると、、、
血液が汚れてくると、体は危機を察し、これ以上血液を汚さないように活動を始めます。
嘔吐下痢は、ウイルスが血液に侵入すると外に排出しようとする症状ですし、発疹は少しずつ体内に蓄積された有害農薬や添加物を外に排出する症状です。発疹だけで排出しきれなかったものはウイルスなどの力を借りて炎症・発熱をさせて体内で処理しようとします。また、早く血液が綺麗になるように食欲不振を起こし、食べ物が入ってこないようにしようと働きます。
軽症のうちに血液が綺麗に出来ない場合は、出血として直接的に外へ排出しようと始めます。一方で、出す以外にも今以上に汚れないために体内に専門のゴミ箱を作り、一か所に固めてしまう反応があります。これが血栓や痛風、高血圧、生活習慣病、肝硬変、胆石などと呼ばれる病気になる原因のひとつのようです。さらに、ここまで頑張って体に改善を求めても血液が綺麗にならない場合は最終手段として体の汚れを一手に引き受けてもらうために発症するものがガン細胞と言われています。
体は綺麗にしようと頑張ってくれているので、自分の体の責任者は自分であることを自覚し、出来る限り血液を汚さないように健康な生活を送りたいですね。
(3)食べ過ぎのもう一つの弊害
食べすぎが血液を汚すことについてお話をしてきましたが、食べすぎによる弊害がもう一つあります。それが【肥満】です。太りすぎると病気のリスクが増えます。目安としてご自身の身長の半分以上になったら注意が必要です。
例えば身長160センチの方であれば80センチ以上は危険信号となります。
糖尿病、心臓病などのリスクが高まります。その他にも、腸内環境の悪化により、脳の認知機能低下が引き起こされるようです。(脳と腸の関係は以前のブログに記述していますので、よろしければ下記をご覧ください)
腸内環境が悪化すると善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れて悪玉菌が急増します。
これにより便秘や消化機能低下、自律神経失調など他の病気やさらなる体重増加に繋がり悪循環を生みやすくなります。
色々と記載をさせて頂きましたが、食べ過ぎによって免疫低下や生活習慣病など健康への弊害はご理解いただけたかと思います。
次に、ここからは解決策をお話させていただきたいと思います。
(4)「空腹力」は救世主??
解決方法ですが、それが今回のコラムのタイトルに記載をさせて頂きました【空腹力】です。
ですが、断食を勧めるものではありません。
○○断食などたくさんありますが、食べすぎている方は、そもそも食べることが大好きなので、断食のような欠食行為は耐え難いものがあると思います。
ここでお伝えしたいことは、「毎日適度な空腹の時間をつくりましょう!」というご提案です。
空腹時間を持つとどのような健康効果があるかご紹介させていただきます。
まず、心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、糖尿病のリスクが減るようです。
第二次世界大戦中は、食糧事情が悪くなった時が人口比に対して心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、糖尿病などの発症率が一番低く、経済が発展するにつれて増加の一途をたどっているという研究もあるそうです。
また、空腹だと体温改善も見込まれます。消化のために胃だけに血液が集まらないので、結果として体温が上がります。体温が上がると白血球の活動が活発になります。寒い日よりも暖かい日のほうが動きやすく、心も気持ちいいですよね。細胞も同じです。白血球は免疫力のリーダーなので、白血球が元気だと自然と免疫力が向上することになるようです。また、空腹時は胃からグレリンというホルモンが記憶を司る脳の海馬を刺激するために記憶力維持向上が出来るようです。さらに、脳にも血流が増えるために認知機能、鬱症状の緩和改善も認められているようです。
(5)「空腹力」で便秘改善や睡眠改善も
さらには「空腹力」の効果として、生命機能として大切な排泄機能と睡眠の質の改善も期待できます。
排泄機能の改善のお話前に呼吸をイメージしてください。
息を吸いながら息を吐くことはできますか?難しいですよね。排泄機能も同じで食事をしている時には体は栄養を吸収しようと働くので、外に排出することが出来ません。入れることと出すことは同時には出来ないので、便秘解消や排尿改善には食べる時間と食べない時間を明確にすることが大切になります。
睡眠の質に関しましては睡眠時間が短く済み、睡眠の質が向上します。
実は、消化吸収は体にはとても重労働な作業です。消化吸収の時間を少なくしてあげることで、体への負担が減り睡眠時間が短くても体が十分に回復するということです。
他にも二日酔いからの早期回復、美肌、気力(性力)向上などたくさんの恩恵があります。
いかがでしょうか?空腹の底力に驚かされますね。
(6)具体的な「空腹力」の活用方法とは
最後に、具体的な方法についてお話させていただきます。
空腹と聞くと欠食を思い浮かべる方も多いと思いますが、食事の回数に関しては所説いろいろありますのでこちらでお話しすることは控えさせていただきます。
ですが、どのお食事スタイルにも共通していることがあります。
それが【よく噛む】です。
そんなこと知っているというお声が聞こえてきそうですが、健康には近道も派手な方法もなく、咀嚼が何より大切で初めに取り組んでいただきたいことです。
食べ物の形が無くなるまで咀嚼すると、唾液分泌も促進されて胃の仕事量を減らすことが出来るため、体が重労働から少し解放されます。また、咀嚼することで単純に食事のスピードが遅くなります。脳の満腹中枢は食事を始めて20分ほどしてから働き始めるので、食べ終えるまでに満腹感を感じることが出来るので無理なく腹8分で食事を終えることを習慣にすることができます。食欲を抑えるために毎食、食事の前に運動を30分行ってくださいと言われるとハードルが高いと思いますが、毎食ひと口最低50回(おおよその目安)の咀嚼をすることであれば出来そうな気がしませんか?継続して行えば、多くの方は気が付けば食が細くなっていきます。
腹8分で食事を終えてから、次の食事を摂るタイミングは時間ではなく空腹感を感じてから食べるようにしていただくと、空腹の間に血液のお掃除になり不調や病気の改善につながります。
昨今の健康話は、○○を取り入れよう!と何かをプラスする情報が多いですが、まずは過剰になっているものを減らすための取り組みに焦点をあてることが大切だと思います。
ぜひ、心地よい空腹感を味わっていただきながら、よく噛み、お食事を五感で楽しみ、いつからでもいつまでもなりたい自分になり健康になって頂きたいと思います。
(7)最後に
今回は、「空腹力」に注目してお話をさせて頂きました。
少しでも、皆様の健康作りにお役に立てれば幸いです。
スパーブルームでは、見た目の格好良い体づくりだけではなく、いつまでも元気で過ごせる健康で美しい体づくりのお手伝いをさせて頂いています。 お気軽にお尋ねいただけますと幸いです。