スパーブルームコラム
身体づくりを考えるうえでの「体組成計」の上手な使い方
記事の監修
江崎文紀パーソナルトレーナー
大手高級ダイエットジムでトレーナーとして一から学び、ライセンスも取得、その後大手フィットネスクラブや個人向けパーソナルジムでパーソナルトレーナーとして専門的な知識やトレーニング理論を学んできた。
これまで培ってきた知識や経験だけに頼ることなく、常に新しい知識やスキルも貪欲に吸収し、経営者や医師などエグゼクティブ層のお客様の身体づくりをサポートしている。
【保有資格】
NSCA-CPT、日本ファンクショナル協会CFT、JTTA ボディメイクトレーナー、背骨コンディショニング
コラムをお読みいただきまして有難うございます。パーソナルトレーニングジム スパーブルームの江崎です。
さっそくですが、前回は「体組成計を利用することで体を実年齢より若くする」をテーマにお伝えさせていいただきました。
今回は前回の続きで、体組成計は体脂肪率だけではなく、何を教えてくれるのか、体組成計の基本をお伝えしていきたいと思います。今回のコラムを読んでいただければ体組成計の上手な使い方をマスターできると思います。よろしくお願いいたします。
目次
1)そもそも体組成とは?(前回の復習です)
人は見かけによりません。同じ身長、同じ体重の人でも過食や運動不足の生活を行っている人と、日常的に運動を行っている人ではその中身はまったく別物です。
筋肉量や体脂肪量、骨量、体水分量などの割合が違います。
体を作るこれらの成分を体組成と言い、この体組成を分析するとその人の本当の姿が見えてきます。
人体は水分、タンパク質、脂質(体脂肪)、ミネラルなどから構成されています。体組成の分析はこの分子レベルでの構成を分析することで、そこから筋肉量や、体脂肪量、骨量などを割り出しています。運動不足だと加齢とともに筋肉量と骨量が減少してしまい、体脂肪量は増えやすくなります。水分量は筋肉量に比例するので、加齢で水分量も減って皮膚のみずみずしさも失われていきます。また、筋肉が少なくなると体の動きが悪くなり、姿勢が悪くなりやすく、体脂肪量が増えすぎると生活習慣病になる可能性も高くなります。
このように、体組成のバランスが崩れると実年齢よりも老けて見えてしまいます。こうしたエイジングにブレーキをかけるものが運動と食事の改善であると考えられます。運動と食事の改善により筋肉量を増やし、体脂肪量を減らす事で体組成のバランスが改善され体の内側からのアンチエイジングに繋がります。
では実際に、体組成計で測定できる各項目についてご説明をさせていただきます。
2)体組成計で測定できる項目
(1)体重
身体の重さ ※人間、動物の個体の質量
(2)筋肉量
体組成計では、骨について関節を動かす骨格筋、心筋、内臓を作る平滑筋、それに水分量を含めた値を筋肉量として表示されます。骨格筋は加齢や運動不足で減りやすいが、筋トレをすることで増やすことができます。
(3)体脂肪率
体脂肪とは体内に蓄積される脂肪のことです。多くは脂肪細胞に中性脂肪としてストックされます。体脂肪率とは体重に占める体脂肪量の割合となります。
(4)内臓脂肪レベル
内臓脂肪は内臓周辺(主に胃や腸)につく脂肪のことです。過剰に溜まると代謝などに悪影響を及ぼし、メタボリックシンドロームを招きます。その蓄積水準を類推しています。例え体脂肪率が低くても内臓脂肪レベルが高いケースもありますので要注意です。
(5)筋質点数
筋肉は量だけでなく、質も重要です。筋肉は勤繊維という繊維状の細胞を無数に束ねたものとなります。勤繊維や筋組織にコラーゲンや体脂肪、余分な水分が溜まると質が低下します。
(メーカーによってはこの機能がない体組成計もあります)
(6)推定骨量
骨はコラーゲンというタンパク質にミネラルが結晶したものとなります。このタンパク質とミネラルの総量を骨量といいます。骨量は20代前半をピークに減少します。骨量と筋肉量は密接に関わり、筋肉量が少ないと骨量も少ない傾向があります。
(7)体内年齢
基礎代謝基準値は年齢とともに徐々に右肩下がりとなり、50歳代以降はほぼ横ばいになります。体組成計では測定した基礎代謝量がどの年代の基礎代謝基準値に相当するかを体内年齢として表示しています。
(8)BMI
世界保健機関(WHO)が提唱するボディサイズを示す国際基準で「BODY MASS INDEX」の頭文字を並べたものです。
BMI=体重(㎏)÷身長(m)²
理想体重(㎏)=22×身長(m)²
痩せ<18.5 普通:18.5~25未満 肥満度1:25~30未満 肥満度2以上:30以上
(9)基礎代謝量
人間は安静時でも生命活動に最低限のエネルギーを代謝します。これが基礎代謝といいます。1日の消費カロリーのおよそ60%を占めます。基礎代謝の20%前後を担うのは筋肉(骨格筋)なので筋肉が多いほど基礎代謝は高くなります。
体組成を教えてくれる体組成計ですが、その項目が上記のようなものになります。
最新式の体組成計は上記に加え、体の部位別での判定や、携帯電話にアプリを入れる事で測定データを携帯電話にオートで記憶してくれるような機能もあります。しかし、どんなに高性能な体組成計でも使い方を間違えてしまうと、正しい測定データが得られない。そこで正しく、正確な測定のポイントとして次の点に注意しましょう。
3)体組成計の測定のポイント
(1)測定は食前、入浴前
体組成計は水分や体温などの変化で電気抵抗が変わり、計測値に影響を与えます。その為、測定のベストタイミングとしては排尿、排便を済ませた食前かつ入浴前がベストです。食事をすると消化されていないものが脂肪としてカウントされるために体脂肪率が高くなりやすくなり、また入浴で汗をかくことで脱水気味になり、また血流が良くなる影響で体脂肪率は低く、筋肉量が多くでやすくなります。
(2)測る時間は決める
また、測る時間帯も非常に重要となります。朝に測るのも、夜に測るのもよいですが、基本的に毎回の測定のタイミングは一定にしていただくことが良いです。朝と夜でもちろん、その日食べた食事、トイレの回数等で数値が大きく異なりますし、体重も1㎏~2㎏は増減します。夕方以降の方が重力の関係上、良い数値がでやすくなりますので、自分の測定のタイミングをしっかり決めて日々の数値の変化を意識することが大切です。
例えば、一週間継続して測ると生活リズムに応じた変化がわかります。週末に体脂肪率が高くなり、平日に戻る傾向があるとしたら、週末の怠惰な過ごし方を変えようという意欲につながります。年間を通して測ることで太りやすい季節やその原因がわかります。数値の変化がモチベーションとなる方も沢山いらっしゃいます。あくまで数値は目安ですが、数値の改善を目指してしっかりとトレーニングに励んでいただけたらと思います。
では、最後に上記から正確な測定の為のポイントをまとめます。
1)裸に近い状態になり、裸足になって測定する
2)食事後2時間は経過しているタイミングで測定する
3)測定前にトイレを済ませる
4)運動直後の測定は避ける
5)脱水やむくみのある状態での測定は避ける
6)気温低下時や低体温での計測を避ける
7)風邪等の発熱時の測定は避ける
8)原則として入浴直後の測定は避ける
今回のコラムでは、主な体組成計の使い方、見方についてご説明をさせていただきました。体組成計を使用されている方はよりよく体組成計を使用し、今後の食事やトレーニングに励んで頂けたらと思います。
次回のコラムでは、実際に測定した体組成計のデータをもとに今あなたがすぐに取り組むべき課題について考えていきたいと思っています。
是非、次回もお読みいただけたら嬉しいです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。