スパーブルームコラム

健康を損なう「動きの質の低下」とは?現代人に必須のコンディショニングを徹底解説
記事の監修

篠原力也パーソナルトレーナー
自身の大学時代のサッカーでの怪我をキッカケに人体の構造や治療・予防の分野に興味を持ち、大学卒業後に専門学校に入り直し、柔道整復師の資格を取得。これまで様々な疾患や症状を持つ幅広い年齢層の方々に対してのトレーニングサポートを行ってきた。
好きな言葉である「難しいことを簡単に、簡単なことを深く、深いことをおもしろく」を胸に留め、お客様に最適なトレーニング内容をご提案とともに、お客様が楽しく身体づくりをサポートすることを心掛けている。
【保有資格】
NSCA–CPT、柔道整復師
更新日:2025年1月31日
最近、「コンディショニング」というワードを聞くことが増えたと感じることはありませんか?
ただ、いまいちこの「コンディショニング」とは何を言っているか分からない人も多いと思いのではないでしょうか。
カラダを活発に動かせる状態になることは、ほとんどの人が求めていることだと思います。
しかし、現代人の3人に1人は運動不足という調査結果もあり、十分な活動量を満たしている人は少なく、運動不足はカラダの動きの質そのものを低下させ、長期的に見れば健康状態の悪化を引き起こします。
コンディショニングは、動きの質を改善し、カラダを活発に動かせる状態にしていくうえでとても効果的な取り組みになります。
今回のコラムでは、
スパーブルーム ホテルオークラ神戸店でパーソナトレーナーをしております篠原が、カラダの動きの質について深堀し、質を低下させる要因や改善のためのアプローチである「コンディショニング」について徹底解説させていただきます。
こちらのコラムを読めば、コンディショニングについての理解が深めていただけると思います。
日常生活の中でも取り入れやすいコンディショニングのエクササイズをご紹介しますので、是非ご参考にしていただけたら嬉しいです。
目次
動きの質の重要性
現代人が抱える身体の問題

動きの質について考えたことはありますでしょうか。
健康づくりの多くは筋力アップやボディメイクに集中しがちですが、効率的な運動や怪我を予防して健やかな生活を送る上では「動きの質」は欠かせません。
特に、現代人はデスクワークや移動時間などで座る時間が圧倒的に長く、それらにより筋肉が硬くなり、柔軟性の低下や血流の悪化、そして姿勢崩れなどが起こりやすい状態にあります。
また、年齢を重ねるにつれて筋肉量や柔軟性が自然に低下し、日常動作が制限されてしまうケースもあります。その為、適切なトレーニングやケアが大事で意識的に日々の生活に取り入れて行うことが大事になってきます。
動きの質とは?

動きの質とは、トレーニングやリハビリテーションなどの分野でよく使われる概念で、身体を効率的で無駄がなくスムーズに動かすことができる能力のことを指します。
スポーツ分野では、効率的な力の伝達やスムーズな動作が極めて重要になります。日常生活では、歩行や立ち座り、荷物を運ぶなどの基本動作の中で、これらを効率的に行えることで疲労や関節への負担が軽減されます。さらには高齢者では、筋力低下やバランス能力の低下により転倒リスクが高まってきている中で、動きの質を高めることによって、転倒を防ぎ、自立した生活を維持することに繋がってきます。
コンディショニングの目的は?
動きの質とコンディショニングは密接に関わり合っています。「動きの質」は動作そのものの質や効率性であることに対して、「コンディショニング」は身体全体を調整するという意味を持ちます。つまりは動きの質はコンディショニングの一部であり、動きの質を高めることは身体全体の調整を高めることにも繋がってくると言うことです。
動きの質が健康に与える影響
動きの質を高めることは、身体全体の機能を最適化させ、怪我や慢性痛のリスクを抑え、生活の質の向上に大きく貢献します。つまりはスポーツでのパフォーマンスから高齢者の方のケアまで幅広い方々の健康維持に直結するという訳です。
動きの質の基本要素
可動性(モビリティ)

可動性(モビリティ)とは、関節がその正常範囲で、自由に動かすことができる範囲や能力を指します。つまり身体の部位を思いのままにコントロールし動かすことです。可動性(モビリティ)が高いと、動作がスムーズで力をより効率的に伝えることができます。
また、柔軟性と間違って捉えられることがよくありますが、柔軟性は筋肉が伸長する範囲のことを指すので、また違った考え方になります。もちろん柔軟性があることは可動性を高める基盤となりますが、それだけでは十分ではありません。可動性を高めるためには、筋肉、神経、関節全ての連動により可動性が生まれます。
安定性(スタビリティー)

安定性(スタビリティー)とは身体が外部からの力や動作中の変化に対してブレないように注意して、特定の姿勢を維持する能力を指します。
例えばバランスボールに座って体勢を崩さないようにすることや、スクワット動作の時に膝や腰がぶれないように保つ等です。安定した体幹があれば、余計な力を使わずに効率よく動けることに繋がってきます。
連動性、機能的動作(ムーブメント)

連動性、機能的動作(ムーブメント)とは複数の筋肉や関節が協調して働き、効率的でスムーズな動作を行うことです。つまり、可動性(モビリティ)と安定性(スタビリティー)を連携させ、複雑な動作を可能にする能力を指します。
例えば、歩行時に足だけでなく、骨盤や腕がスムーズに働くことによって全身でバランスをとりながら効率的な動きに繋げているという訳です。
動きの質を低下させる要因
姿勢不良
姿勢不良とは身体が自然なアライメント(骨や関節の配列のこと)を失い筋、結合組織、関節などに不均衡な負荷がかかり、正しい姿勢がとれない状態のことを指します。
その不良姿勢によって力の伝達が妨げられ、動作効率の低下や特定の筋肉が過剰に使われることによって筋力のアンバランスが起こりえるので、動きの質の低下や日常生活動作のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
運動不足や偏ったトレーニング習慣
運動不足や偏ったトレーニング習慣によっても動きの質は低下します。
当たり前の話にはなりますが、運動不足な生活を続けていると筋力は失われていきます。筋肉は使われなくなると萎縮してしまい、特に下半身の筋肉の衰えが早く見られるので、姿勢維持や日常生活を送る上で必要な筋力が低下することによって歩行などの基本的な動作が制限されます。
またウェイトトレーニングで胸筋ばかりを鍛えるなどの偏ったトレーニングが続くと、一部の関節に過度なストレスがかかり、動きの滑らかさや安定性が低下します。胸筋のトレーニングと共に背中や肩甲骨周辺の筋肉も合わせてトレーニングを追加するなど、バランス良くトレーニングを行う必要があるということです。
ストレスや疲労
またストレスや疲労も心身のバランスを崩し、正常な動きを妨げる要因になります。
例えば、ストレスを過剰に感じると交感神経が優位に働き、筋肉が過剰に緊張します。首や肩が凝り固まると、上半身の動きが制限されるように、適切なストレス管理により疲労回復の習慣を取り入れることが効率的な動作を維持するための重要な鍵となります。
動きの質を高める為のアプローチ
現状を把握する(アセスメント)
現状を把握すること(アセスメント)は動きの質を高めるための出発点であり、効果的なトレーニングやリハビリを行うための基盤となります。
個々の身体の状態や現在の運動能力を把握し、そして評価をした中でトレーニングのメニューなどを設定していく必要があります。
特に姿勢、関節可動域、バランス能力などを適切に評価し、その評価を元に個々の課題を明確にすることで、より効率的で安全に動きの質を向上させることができるでしょう。
可動性を向上させる方法

可動性(モビリティ)を向上させるには、関節や筋肉の動きを滑らかにするエクササイズが効果的です。手軽に行えるものとしてはダイナミックストレッチです。動きを伴うストレッチを行うことで関節や筋肉量を動かし可動域を広げることが可能です。またヨガやピラティスのような流れの中での動きを重視するエクササイズも効果的で、可動域を広げるだけでなく、姿勢保持に役立つ体幹筋群をより活性化することができます。
安定性を向上させる方法

安定性(スタビリティー)を向上させるには、軸がブレずに安定した能力が必要なため、体幹や関節周辺の筋力を高めて、不安定な状況でのバランス感覚を養うことが重要となってきます。
例えば不安定な状態で行うバランストレーニングや、またプランク、デッドバグなどの体幹深層筋群を動かすトレーニングが安定感を高めることに効果的です。
連動性、機能的動作(ムーブメント)を向上させる方法

連動性、機能的動作(ムーブメント)を向上させるには、日常動作やスポーツに直結した筋力を高める必要があります。そして可動性(ムーブメント)と安定性(スタビリティー)を基盤に行うことで、より安全で効率的なパフォーマンスの向上に期待ができます。
例えばトレーニングで言うとケトルベルスイングのような、両手でケトルベルと呼ばれる器具を持ち、一定のテンポで振るトレーニングなどは連動性や機能的動作(ムーブメント)を養う上では効果的なトレーニングと言えるでしょう。
日常生活での応用とエクササイズ
仕事の合間にできる簡単な動作
日々のデスクワーク、また長時間の移動など、ずっと座っている時間が続くと身体は凝り固まり筋力低下も著しく進んでいきます。座りっぱなしを予防するために、下記にご紹介しております仕事の合間に簡単に行える動作からでも始めてみましょう。
●カーフレイズ

カーフレイズ(かかと上げ動作)はふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)の筋力を高め、足首の安定性を高めることができるシンプルなトレーニングです。またふくらはぎは第二の心臓と呼ばれており、全身の血流がよくなる効果も期待できます。
【動作】
・立ち姿勢でゆっくりとつま先立ちになるようにかかとを持ち上げる。
・身体を真っ直ぐに安定した姿勢を保ち、ゆっくりと床に戻す。
●椅子スクワット
椅子スクワットは下半身の連動性や筋力を向上させることができます。デスク作業で椅子に座る際に、スクワットの要領で椅子スクワットを取り入れます。ポイントは椅子に完全に座るのではなく、軽く浮かした状態で行うとより効果が期待できます。また椅子を使うため、普通のスクワットより安全に取り組むことができるでしょう。
【動作】
・椅子に完全に座らないように腰を落とし、立ち上がる。
朝のルーティーンに取り入れるストレッチ
朝のストレッチは一日の始まりで最適にリフレッシュができます。睡眠中に硬くなった筋肉や関節をほぐし血流を促進させることで、体と心をしっかりと目覚めさせることができるでしょう。下記にて一つご紹介します。
●キャットアンドカウ(背中周辺をほぐす動作)

・四つ這いになり、膝は股関節の真下、手首は肩の真下に置く。
・息を吐きながら背中を丸め(目線はおへそ)、息を吸いながら背中を反らす(目線は上げ胸を張る)。
・この動きを繰り返す。
朝にストレッチを取り入れることで、心身共に目覚め、身体の動きのスムーズさが向上します。是非習慣化し、毎日のルーティーンに取り入れてみてください。
家庭での日常動作を活用したトレーニング
家庭での日常動作を活用したトレーニングは、効率よく筋力をつけ、また強度よりも運動を習慣化して長く続けていけることにより長けています。
例えば、「片足立ちをしながら歯磨きをする」、「掃除や家事を行う時にランジ動作を取り入れる」等、日常の動作に工夫を加えるだけで、効率的にトレーニングができます。
動きの質がもたらす長期的なメリット
健康寿命の延伸
動きの質を高めることで、健康寿命を伸ばし、怪我のリスクなども軽減することに繋がります。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、動きの質が高いと関節や筋肉に無理な負担をかけず、身体機能を長く保つことができます。
参照:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000637189.pdf
心と身体のバランス向上
動きの質の向上により身体の動きがスムーズになることによって心と身体のバランスも向上します。
関節や筋肉の無理な負担が軽減されることで痛みや身体の不調も軽減します。その結果、身体的な快適さが増し心のストレスも自然に減っていきます。そしてバランスの取れた動作は集中力を高め、また運動を通じてストレスの発散にも繋がってきます。
パフォーマンス(スポーツや仕事)の向上
スポーツやトレーニングの世界では常にパフォーマンスが求められています。動きの質を高めることで、正しい動作パターンや身体のバランス、柔軟性が習得でき、スポーツやトレーニングのパフォーマンスを高めることに繋がります。
また仕事に置いても、同じことが言えます。効率的な動作は正しい姿勢を促し、疲労を軽減し集中力を高める助けとなります。動きの質を高めることによって、より生産性の高い仕事環境を作ることができるでしょう。
パーソナルトレーニングサービス スパーブルームのご紹介
ここで、私たちがご提供しているパーソナルトレーニングサービス スパーブルームについて簡単にご紹介をさせていただきます。
私どもが提供しているパーソナルトレーニングサービス スパーブルームは、現在、大阪難波駅直結のスイスホテル南海大阪、そして、神戸を代表する高級ホテルであるホテルオークラ神戸の中で運営しているパーソナルトレーニングサービスです。
従来のパーソナルジムとは異なる、中長期的なスタンスで身体の土台から本質的に健康な身体づくりをマンツーマンでサポートさせていただくウェルネスサービスをご提供しています。
【特徴1】専門性の高いパーソナルトレーナーによる個別サポート
スパーブルームでは、パーソナルトレーナーとしての専門資格を保有している経験豊富なパーソナルトレーナーが、お客様の目的やライフスタイルに合わせたオーダーメイドのトレーニングプランを提供しています。トレーナーが提供するサービスの質が何よりも重要と考え、毎月2~4回、トレーナーの知識向上、スキルアップを図るため、生理学や栄養学、トレーニング理論だけではなく、身体を整えるピラティスの研修も導入しています。最高のトレーニング環境と身体づくりサポートの提供を目指し、トレーナーの質の向上に徹底的に取り組んでいます。
【特徴2】快適な環境と極上のリラクゼーション
非日常感漂う特別感のある高級ホテル内という環境でパーソナルトレーニングを楽しめます。混みあうことが少なく、また、適度な距離感を保った接客を意識しているため、集中してトレーニングに取り組むことができ、心地良く身体づくりを行いたい方に最適です。また、トレーニング後には、ホテル内の専用スパ(お風呂、サウナ)でリフレッシュすることもでき、他のパーソナルジムにはない大きな魅力として選ばれています。
【特徴3】サポート体制の充実
パーソナルトレーニングを始めてみたいけど、時間がないという方も多くおられます。
お忙しい方ため、トレーニングに来る時間が取れない方には、自宅や出張先などで行っていただけるトレーニングメニューを提供するなど、お客様ごとに合わせたサポートメニューを作成しご提供しています。お客様が無理をすることなく、健康的な身体づくりを行えるように、継続しやすく、確実に成果を実感できるサポート体制を整えています。
スパーブルームでは、各店舗で無料体験を行っていますので、ぜひ一度ご体験だけでもしていただけたら嬉しいです。
まとめ
動きの質を高めることは、健康や日常生活、そして仕事やスポーツパフォーマンスのレベルを上げていくためにもとても大切な基盤となります。
ただ、今までの自分の身体の動きのパターンというものは、長年のクセなどからも身体に染み付いてしまっているものをあり、それを変えていくということは一朝一夕で獲得できるものでもありません。
より効率的で快適な動きを実現するためには、日々の積み重ね、つまりは継続が必要不可欠になってきます。
積み重ねとか継続と言われると大変だ、、、と腰が引けてしまう方も多いかもしれませんが、まずは、自分自身の動きのパターン、クセ等を知り、少しづつでも正しい方向でのトレーニングや意識的な動きを積み重ねることから始めてみていただけたら、徐々に成果が現れ、より良い生活の質を築くことに繋がっていきますので、ぜひ取り組んでもらえたら嬉しいです。